2010-2011 ワイルドカードトーナメント 1回戦 対 コカ・コーラウエストレッドスパークス

2011.01.20

「日本選手権」出場懸けた闘いが始まる

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 気温0度にも迫る極寒の福岡・レベルファイブスタジアム。14時、ワイルドカードトーナメント1回戦、コカ・コーラウエストレッドスパークス(コカ・コーラ)戦が始まった。

先手はコカ・コーラがとる。キックオフボールをキャッチしたリコーのアタックを自陣22mライン付近でターンオーバーするとランで突破。一気にリコー陣内22mラインまでゲインする。さらに攻め、ゴール正面でスクラムを得ると2分、右側を8番が突き、外側に流れるように見せてディフェンダーを引きつけ、内側でサポートについていた7番にパス。7番はギャップに飛び込んで中央にトライ。コンバージョンも決まり0対7となる。

リコーも反撃する。6分、キッキングゲームを優勢に進め、コカ・コーラ陣内左サイドでラインアウトを得るも、ボールを奪われ自陣にロングキックを蹴り込まれる。しかし、右中間でこのボールをキャッチしたWTB横山伸一がスペースにカウンターアタック。加速をつけて相手ディフェンスラインに接近すると、ステップを刻み1人、2人と抜きさる。フォローしていたCTBロイ・キニキニラウにパスしさらにゲイン。

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 右中間でラックになるとCTBジョエル・ウィルソンがサポートしマイボールをキープ。SH池田渉が素早く球出し。SO河野好光が俊敏な動きで中央のわずかなギャップを縫うようにしてゴールに迫り、捕まえようとするコカ・コーラディフェンスをかわす。ゴール下に飛び込んでトライ。コンバージョンも自ら決めて7対7の同点に追いついた。

ロイ・キニキニラウの連続トライでリード

 次のトライもリコーが奪う。互いに攻め合い均衡が続いた後の27分、コカ・コーラ陣内右サイドの深い位置でラインアウトを得たリコーはフォワードが縦の突破を図りゴールに迫る。FLマイケル・ブロードハースト、LOカウヘンガ桜エモシが力強くボールを前に運ぶ。ゴールライン際の攻防になるが、最後はCTBキニキニラウがラックから出たボールを拾い左中間に飛び込みトライ。コンバージョンも決まり14対7とリードを奪うことに成功する。

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 だがリコーのディシプリンに乱れが生じる。34分、ハーフウェイラインのスクラムでハンドの反則。コカ・コーラはタッチキックを蹴りゲイン。リコー陣内右サイドのラインアウトからバックスに展開してアタックを仕掛ける。リコーはこのディフェンスでオフサイド。コカ・コーラは中央22mライン付近の位置からペナルティゴールに成功。14対10と点差を縮めた。

ペースをつかみかけたコカ・コーラは、自陣に侵入してきたリコーのラインアウトからのアタックに冷静に対応。乱れを突きジャッカルし、ターンオーバーからアタックに移ろうとしたところでリコーがハイタックルの反則。タッチキックでボールは再びリコー陣内へ。

コカ・コーラはラインアウトからオープン攻撃。しかし37分、一瞬の隙をCTBキニキニラウが突く。パスコースに走り込み右中間でインターセプトしてターンオーバー。自陣10mライン付近から一気にゴールまで走り、ポスト下にトライを決める。コンバージョンも決まり21対10と再び点差を広げた。

だがコカ・コーラは前半最後のアタックでリコーゴールに迫る。ゴール前で攻撃を続け、リコーはディフェンスに追われる。39分、ラック内でプレーをしていたカウヘンガにノットロールアウェイの反則との判定が下りイエローカード。10分間の一時的退場処分が科される。しかし、リコーはコカ・コーラにゴールラインを割らせず、守り切って前半を終える。

後半3トライで、逆転許す

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 14人で迎えた後半。リコーは集中力をもって試合に入る。2分、コカ・コーラのノックオンで得た自陣右中間10mライン付近でのスクラムからボールを出しコカ・コーラ陣内にキックを蹴り込む。相手10番も蹴り返すがこれがダイレクトタッチとなり、リコーはコカ・コーラ陣内に侵入。左サイド10mライン付近のラインアウトからSO河野が縦に突破を図る。相手ディフェンスに捕まるがサポートしていたCTBキニキニラウがパスを受けゲインラインのギャップを抜ける。左中間を走り、残り1人のディフェンダーをかわそうとショートパントを蹴る。ゴール目前で自ら追いつき、弾んだボールに手を伸ばすが、ボールは体の前側にはたかれており惜しくもノックオンの判定。リコーは大きなチャンスを逃す。

数的有利の中、攻めるタイミングを迎えていたコカ・コーラが反撃。リコー陣内左サイドでラインアウトを得ると、ボールを動かしアタックを繰り返す。リコーのディフェンスもタックルをするものの相手の真身に入ることができず、じりじりと前進を許す。7分、連続攻撃で崩されたリコーのディフェンスラインのギャップを突き、パスを受けた14番が飛び込んで左隅にトライ。コンバージョンは外れたが、21対15とする。

リコーは9分、シンビンから戻ったLOカウヘンガに替えてハレ・ティーポレ、CTBウィルソンに替えて山藤史也を送る。ティーポレはNO.8に入り、川上力也がFLに。ブロードハーストがLOに入った。だが、コカ・コーラは10分、リコーゴール前右中間のラックのショートサイドを6番が突きトライ。コンバージョンも決まって21対22と逆転。

流れはコカ・コーラへ。リコーはディフェンス最終ラインにて、キック処理後のパスが乱れノックオン。中央22mライン付近のスクラムを与えてしまう。14分、スクラムの右サイドを8番が突き、ギャップのできていた中央を突破。7番につないでトライ。コンバージョンも決まり、21対29。7分間で3つのトライを許したリコーは、25分を残し8点差を追うことになる。

今季育まれた勝負強さを発揮。トライとPGで再逆転

 一進一退の攻防が続いたが、23分にリコーが起死回生のトライを奪う。LOブロードハーストが中央ハーフウェイライン付近からディフェンスラインを力強く突破。22mライン付近までゲインする。

リコーはコカ・コーラ陣内になだれ込みボールをキープ。アタックを仕掛けていく。コカ・コーラもラインを整え、クイックボールを出させない。

左中間のラックからSH池田がボールをオープンサイドへ出し、SO河野がロングパス。ボールはワンバウンドしてWTB星野将利に。星野は外に流れたディフェンダーの内側にできたスペースを右中間から中央に向かってステップを切り、そのまま走り抜けトライ。コンバージョンも決まり、28対29と1点差に迫った。ここでリコーはFL川上力也に替えて金 栄釱をピッチに。

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 29分、コカ・コーラ陣内10mラインを越えたところで、リコーは相手のオフサイドでペナルティを得る。距離は約30m。静まり返ったスタジアム、張り詰めた空気のなかSO河野が蹴ったボールはゴールを越え、ペナルティゴール成功。31対29。連続得点で逆転に成功した。

だが、このままでは終わらない。31分、今度はリコー陣内10mライン付近でリコーがノットロールアウェイ。成功すれば再びリードを奪われるピンチ。2分前と同じような距離と角度のペナルティゴールをコカ・コーラ22番が狙っていくが、これが右にそれる。

リコーは、ドロップアウトからのディフェンスに集中。ミスを誘いボールを奪うと、残りの時間はコカ・コーラ陣内に入ってプレー。フォワードがボールをキープし、時間をうまく使いながらアタックを繰り返す。リコーボールを続け、かつ反則を出さないよう細心の注意を払いながらラックでボールを維持。

数分にわたるキープの後、38分リコーが反則。コカ・コーラがペナルティキックをタッチに出し最後のアタックを仕掛けるかと思われたが、キックはタッチラインに届かず、WTB星野がキャッチ。リコーはこのボールをひたすらキープし40分経過のホーンを迎える。最後はSH池田がタッチラインの外にボールを蹴り出してノーサイドのホイッスル。

31対29でリコーが僅差のゲームをものにした。2点差での勝利は、トップリーグ第4節での対戦時(29対27)と同じだった。

 試合終了後の記者会見には、帰国中のトッド・ローデン監督兼ヘッドコーチに代わり指揮をとったランス・ヘイワードヘッドスキルコーチが出席した。
「(ワイルドカードトーナメント進出を懸けた)ヤマハ(発動機ジュビロ)戦という山場を越え、気持ちを保てるかが大事なゲームだったが、選手たちはリコーのジャージへの誇りをしっかり持っていた。さらにもっと上まで行きたいという気持ちを見せてくれた。皆に感謝したい」

前戦終了後、短い調整期間をチームはディフェンスの修正に充てたという。その成果か、勝負所では高いディフェンス意識も感じられた。しかし、「かなりははずされていました。最後のタイムマネジメントはうまく言ったと思いますけど、これで満足していてはいけない」とFL覺來 弦は言う。選手が満足の表情を見せることはない。

シーズンも終盤を迎え、総力戦の様相を見せている状況で出場機会をつかんだ選手達の奮闘も光る。2試合フル出場を続けているHO森 雄基は、初の先発スタートだった前戦後は「緊張もあった」と話していたが、自信に溢れるプレーでチームに勢いを与えた。「この時のためにずっと準備してきたんですから」。

リコーラグビー部の闘いはまだ続く。次戦はワイルドカードトーナメント2回戦のNECグリーンロケッツ戦だ。この近鉄花園ラグビー場での1月23日(日)12時からのゲームに勝てば日本選手権出場が決まる。

「『いつでも、どこでも、(相手が)誰でも』をテーマに自分たちのラグビーをする準備はしてきた。必ず勝って秩父宮に帰りたい」
ここ2試合ゲームキャプテンを務め接戦を制してきたLO相 亮太の力強い言葉は、一丸となったリコーラグビー部全員の総意だ。

(文 ・ HP運営担当)

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