第35弾:選手がみせた、その横顔 25

Inside the RICOH BlackRams

2012.03.09

 リコーブラックラムズ(リコーラグビー部)を支える選手たちの、ラガーマンとしての思いや、これまでのキャリアに関するエピソードをご紹介します。リコーというラグビーチームは、彼らの個性と歩んできた道程、積みあげてきた経験が混ざりあって、今の姿があります。

視線は、3年目のシーズンへ(長谷川元氣)

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「もう約束したんですよ。『今シーズンの借りは来シーズン必ず返す。だからサポートして欲しい』って」。長谷川元氣は2011年3月3日に結婚した。言葉は新妻と交わしたものだ。

2010-11シーズンにデビューした長谷川は、トップリーグ4試合とワイルドカードトーナメントでメンバー入りを果たした。先発出場したクボタスピアーズ戦(2010年12月11日)では初トライも決め、同期の新人の中ではトップランナーといっていい活躍をした。『名が体を表す』。実に生き生きしたプレーで、多くの人々の記憶に残った。ちなみに「"元氣"の氣が"米"が入っているのは、将来食べるのに困らないように、という願いを込めてお父さんが選んでくれた字なんです」とのこと。

長谷川の2011-2012シーズンの目標は「トップリーグ全試合出場」。 前シーズンを考えれば、当然目指すべきラインだが、ワイルドカードトーナメントを含めメンバー入りは3試合。出場は2試合に終わった。トライを挙げることはできなかった。

そんな結果を悔しがっている時間も惜しかったのか、シーズン終了間もなく来季の活躍を心に決め、長谷川は妻に支えを求めた。フィニッシュを常に期待され、ミスを引きずっていては良い仕事ができない、WTBらしい切り替えのはやさにも映る。シーズンの振り返りもしっかりできている。

「今シーズン(2011-12)は勝負の年だと思っていて、4月から意気込んでいました。でも、その気持ちが強すぎて身体がついていかず、満足のいくプレーはできなかった。1年目は、初めてのトップリーグを楽しもうという気持ちで思い切ってできた。むずかしいことは考えていなかったかもしれません(笑)。その中で1年やって、さらにレベルを上げるべき部分もわかった。それで気負っちゃったんですよね。

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 トップリーグでレギュラーとして出続けるために必要なもの? 精神面の強さだと思います。場慣れと言えば良いのでしょうか。サテライトではずっと出ていたので大丈夫なんです。トップリーグでもその気持ちでいこうとするんですが、グラウンドに立つとあがってしまう。緊張してしまって、身体が思うように動かない。

思い出してみると、大学3年生のときもそんな感覚がありました。次のレベルに挑戦するときに気負うのは自分の性格なのかもしれない。もう少し冷静に自分と向き合うべきなんでしょうね。目標を掲げて、そこにたどりつきたいと焦るのではなくて、一歩一歩、落ち着いて近づいていこうという姿勢が大事だと感じています。練習中も試合と同じ緊張感を持って、常にプレーすることですね」

ラグビースクールに通っていた小学校時代の友達に誘われ、中学のラグビー部に入部しラグビーを始めた。当時のポジションはCTB。「1、2年生のときは楽しんで、という雰囲気だったんですが、3年生のときに新しく顧問になった先生が、かなり熱心に指導してくれました。そこで自分のラグビーに対する意識はかなり変わったと思います」

長谷川は頭角を現し3年生で地域の選抜に入ると、選抜チームの指導をしていた京都の名門・伏見工高OBの先生の誘いを受け同校に入学した。なお、選抜チームの22人中16人が同じ進路を選んだのだそうだ。高校入学を機にポジションをWTBに変え、以来このポジションでのプレーを続けている。

「高校時代は海外のラグビーをよく観ていましたね。やっぱりバックスリーにばかり目がいく。憧れた選手? オールブラックスのWTBジョー・ロコソコが好きでした」。関東学院大学ではリコーラグビー部OBの桜井勝則監督の下でプレー。その縁もあって、リコーに入社した。

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「テレビゲームが好きなんですけど、あんまりやっていると『相手して』って怒られるんですよね。気を遣います(笑)」。愚痴に見せかけた、のろけも思わず口をつく新婚生活。休みには「コストコ」や「IKEA」など、若い夫婦らしいスポットに出かけることが多いという。

「自分が今、するべきこと」をしっかり見据えた長谷川元氣。妻と二人三脚で挑む3年目のシーズンに、ぜひ注目して欲しい。

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