第37弾:選手がみせた、その横顔 27

Inside the RICOH BlackRams

2012.04.13

 リコーブラックラムズ(リコーラグビー部)を支える選手たちの、ラガーマンとしての思いや、これまでのキャリアに関するエピソードをご紹介します。リコーというラグビーチームは、彼らの個性と歩んできた道程、積みあげてきた経験が混ざりあって、今の姿があります。

海外経験が大きな影響
オープンで明るい"ジャンボ"(森山展行)

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「大学時代の先輩に、"ジャンボ"と呼ばれている人がいたらしんです。その人に似ているってことで呼ばれはじめて。なぜ、リコーに入ってからもそう呼ばれているのか?自分でそう呼んでくださいって言ったのかなぁ(笑)」

愛称の定着具合はチームで一番だ。グラウンドで"ジャンボ!"と呼ぶ声をよく聞く。選手から本名で呼ばれることはほとんどない。

チーム唯一の北海道(札幌)出身選手。今シーズン4年目を迎えるNO.8森山展行は、周囲の人間に親しみやすさを感じさせる選手だ。どこかオープンな印象は、外国人選手のような感じも受ける。聞けば、自分のラグビー人生を振り返ると、これまで外国や外国人選手との関わりは多いという。

「大東文化大学のラグビー部では、トンガ出身のシナリ・ラトゥ監督から指導を受けました。チームメイトには今も一緒にプレーするエモシ(カウヘンガ桜エモシ)がいました。リコー入社時はトッド・ローデン監督兼ヘッドコーチ。それに、リコーのNO.8は外国人選手も多いポジションなので、トレーニングはいつも外国人選手と一緒です。

仲がいい選手? そうですねロッキーかな。休みの日の度に『今日は予定あるか?』って。寂しがりやなんですよ(笑)。チームの誰とでも明るく接し、時には厳しく接する事でいい空気をつくるという彼が果たしていたチームへの貢献は本当に大きかったと思います。そこは見習うようにしていこうと思っています」

中学まで野球で鳴らした森山は、高校は野球の強豪校に進み甲子園を目指すつもりだったが、セレクションに通らず悩んでいた。そんなとき、身体づくりのために通っていたスポーツジムで札幌山の手高校ラグビー部コーチに声をかけられた。森山は当時から今とそれほど変わらないサイズがあり、ジムでも目立っていたのだという。

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「ラグビーについては何も知りませんでした。でも、運動面を評価してもらったのがうれしく思い、入学を決めました。野球をやっていた父は反対していましたね。父の友人がラグビーでケガをしたことがあったそうで、ラグビーに良い印象をもっていませんでした。でも、今では父はラグビーの大ファンになってくれました」

ラグビーは未知のスポーツ。自分に才能があるのか、見当もつかないままはじまったラグビー人生だったが、高校2年の時、約半年間のニュージーランドへのラグビー留学を体験し視界が開けた。

「海外のラグビー文化を体験できたのは刺激的でした。それに、同時期に啓光学園高校や東福岡高校のラグビー部員もニュージーランドに来ていて、いろいろ話す機会があった。北海道で生まれ育った森山にとって、ラグビーのスケールの大きさや、そこで活躍する選手を知って、大学に行ってもこのスポーツを続けようと思うようになりました。留学しなかったら、また別の道を考えていたかもしれない」

そして、日本に戻った森山にもうひとつ、海外との縁が。
「自分が留学をさせてもらった学校(セントビーツカレッジ)に通っていた生徒を、日本で留学生として受け入れることになったんです。それで、私の実家から高校までが近かったということで、うちに下宿することに。

やって来たのが、東芝(ブレイブルーパス)でプレーし、日本代表にも選ばれているマイケル・リーチ選手(以下:リーチ)。僕が高校3年生、彼が1年生だった1年間を一緒に暮らしました。最初は細くて小さく弟って感じで。一緒に住んでいた頃は、兄弟みたいにフランクに接していたんですけども、大学のラグビー部の上下関係を学んだんでしょうね。今では自分のことは目上の人として接してきます。うちの両親は本当の息子だと思っていますよ。リーチもマメに連絡しているようです。この間フェイスブックを見ていたら、板前の格好をしてカウンターに立っている写真が載っていました。実家は寿司屋なんですが、札幌に帰って父と母のところに顔を出したみたい。自分もまだ立ったことないのに(笑)。リーチに先を越されましたよ」

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 森山のオープンで明るく、人なつっこさを感じさせるコミュニケーションスタイルは、リコーで取り組む営業職にぴったりに思える。

「クライアントの担当者の方や上司が、ラグビーに取組む私を理解してくれているという環境に恵まれているからなんですが、仕事はとても楽しいです。営業は向いているのかなと思います。でも、意外と人見知りなところがあります。入社当時は、電話に出ることだけで緊張してしまって、上司にマンツーマンでレッスンしてもらったくらいなんです」

とても面倒見のいい上司に恵まれているのは確かだ。だが、「いいところを引き出し、育ててやりたい」と思わせる素直さや前向きさを、森山が備えているのもまた確かだろう。

「職場では、試合に出場してほしい」と言われています。リコーのNO.8のポジションは激戦区です。今年は、なんとかチャンスをつかんで、皆さんの声に応えたい」

4年目のシーズン、森山は明るく真っすぐに、その存在をアピールしていくはずだ。

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