2009-2010 トップリーグ 対 九州電力キューデンヴォルテクス

2009.10.28

 前節、ヤマハ発動機ジュビロとの試合に敗れたリコーブラックラムズ(リコーラグビー部)。この日までの1週間は、ディフェンスシステムの修正など、戦術理解のために時間を費やした。前週の東芝ブレイブルーパス戦後の1週間は、「よく走ってました。雑念を振り払えてよかった」(FL相亮太)ということだから、いつもとは少し雰囲気の違う週だったろう。

連敗を絶対に断ち切らねばならない前半節最後の試合のスターティングメンバーには、FBにスティーブン・ラーカム、FLにジョエル・ウィルソンの名が。両者がケガから復帰し、戦術をもう一度確認し直したリコーラグビー部は、自分たちのラグビーを実践するための条件を整え、九州電力キューデンヴォルテクスに挑んだ。

photo

 正午、晩秋の冷たい空気の中、九州電力のキックで試合が始まる。

開始直後、自陣でタックル後その場を退かない(ノットロールアウェイ)反則をしてしまったリコーラグビー部。タッチキックで九州電力に大きく攻め込まれる。

1分、ゴールライン間際のラインアウトから出したボールを、走り込んできた相手12番がもらうとそのまま抜けてゴール中央へ。前節と同じ様な形でトライを与えてしまう。コンバージョンも決まり0対7となる。

7分、九州電力はリコーラグビー部陣内左サイド10m付近のラインアウトからモールで22mラインまで押し込む。ここでスクラムを得るとボールを出して攻撃を仕掛ける。リコーラグビー部は、このディフェンスでオフサイドの反則。九州電力はペナルティゴールを狙って成功。0対10と点差が開いた。

リードを許したリコーラグビー部は、ここから攻めに転じる。15分、相手陣内の右サイド22mライン付近でスクラムを得るとボールを展開。SO河野好光からCTB金澤良へのパスがやや乱れるが、こぼれたボールをFBラーカムがうまくフォローしてWTB横山健一へつながる。横山は、ステップで相手かわし左サイドをゲイン。ゴール間際で捕まるが、ボールはSH池田渉、河野、ラーカムを経て右サイドに走り込んだCTB金澤へつながりインゴールエリアへ。鮮やかな連続攻撃でトライを奪ったリコーラグビー部は、コンバージョンも決めて7対10とした。

続く20分には、九州電力が反撃。リコーラグビー部陣内左サイド10m付近のラインアウトから右サイドにボールを展開してなだれ込む。ゴールライン間際の密集から左へボールを出すと、6番がディフェンスのギャップを突き左中間にトライ。コンバージョンも決めて7対17と再びリードを広げた。

慎重さは感じさせるが、ややスピードに欠けていたリコーラグビー部の攻撃だった。前半半ばを迎えるとパスにスピードと思い切りの良さが戻り、攻撃のテンポがあがりはじめた。相手陣内でプレーする時間が徐々に増えていく。

photo

 25分、相手陣内右サイドでペナルティをもらうとゴールに成功し10対17に。さらに29分、左サイド22mエリア内のラインアウトから攻撃を仕掛けると、ゴール正面で突破を図ったFBラーカムに対し、相手選手が足を引っ掛けて倒すハッキング(故意に足で、相手の足を引っ掛ける)の反則。再びペナルティを得るとゴールを決め、13対17と4点差に迫る。反則を犯した相手15番はイエローカード(10分間の一時的退出)を課され、リコーラグビー部は数的優位を得る。

34分、相手陣内左サイド10m付近での九州電力のラインアウトからこぼれたボールを奪ってボールをつなぐ。SH池田からFBラーカムへ回すと右サイドを22mライン付近までゲイン。一度は捕まったが、素早いフォローでボールをキープすると池田はすぐ右サイドへ走り込むWTB横山健にパス。ボールは胸で一度跳ねたが、しっかりつかみ直すと同時にステップを踏み相手をかわし右隅へトライ。コンバージョンも決まって20対17と逆転する。

前半終了間際までリコーラグビー部の攻勢は続く。40分、FBラーカムが相手陣内右サイド深くにボールを蹴り込むと、相手はタッチを狙いキック。しかし距離を稼げず、リコーラグビー部は22mライン付近でラインアウトを得る。これを展開して、左サイドで攻撃を仕掛けると九州電力が反則。そこから今度は右にボールを出して再度攻撃。確実につなぐと最後はCTB金澤がラインを破り、右サイドから中央へとインゴールエリアを大きく回り込んでトライ。コンバージョンも決まり27対14と点差を広げて前半を終えた。

photo

 後半に入っても、リコーラグビー部のペースは続く。

2分、相手陣内左サイドのラインアウトから攻撃。右サイドでできた密集からSH池田は、左に走り込んでいたCTB金澤へボールを出す。相手ディフェンスのギャップを突いて縦に抜けるとそのまま中央にトライ。コンバージョンも決まって34対14。

試合は膠着状態が続くが、リコーラグビー部は多くの時間を相手陣内でプレーした。前の試合では、ハーフのテンポの良い球出しとスピードに乗って走り込むBK陣の連携に、何度もディフェンスラインを破られたが、この日は集中力を維持して膝下に入る的確なタックルで相手を止め続けていった。

19分、FBラーカムのキックが敵陣右サイドへと転がると、WTB小吹祐介がこれを追いプレッシャーをかける。すると相手選手が処理を誤り、ゴール直前の位置でタッチに逃れる。リコーラグビー部はこのラインアウトで一度ボールを奪われたが、その場にできたモールでPR長江有祐がボールを奪い返し、右サイドから中央へ向かい一直線に駆け抜けてトライ。コンバージョンも成功して41対14。

「テンポアップ!」の声を挙げ、さらに攻勢をかけようとするリコーラグビー部だったが、その後は惜しい局面をつくりながらも得点には至らない。九州電力の粘りによって思惑通りのスピーディな攻めができない状況が続いたが、ゲームキャプテン・SH池田渉は「我慢づよく! 我慢づよく!」とチームに声をかけ、最後まで集中力の維持を促した。

後半40分のホーンが鳴りノーサイド。リコーラグビー部は5トライをあげて41対14で九州電力に快勝。今シーズン初となる4トライ以上によるボーナスポイント1を加えた勝ち点5を獲得した。

photo

 試合後、クラブキャプテンの小吹祐介は言った。
「ここ数試合、少しちぐはぐになっている部分があると感じていました。一人ひとりが別の方向を向いているというか……。頑張るにしても、目指す部分がちょっとずつぶれていたのかなと。ヘッドコーチから『TAFUやAttitudeという、リコーの原点に戻るべきだ』と話がありました。最近は、新チームの基礎をつくっている時期に比べると、意識することが減っていたんですが、それをもう一度考えようって。
試合中に悪い流れになると、いろんな言葉が飛び交っていました。それぞれは正しいことなんですよ。でも、短い時間で流れを変えるためには、ひとつの言葉にまとめて、そこにみんなが集中する段階までもっていかないといけない。それを徹底しようと決めて今日は臨んだんですが、うまくいったと思います。負けている時間もあったけど、流れを変えることができた」

シーズンを闘いながら進化していく――。トッド・ローデンHC(ヘッドコーチ)が春から掲げるプランが、結実している瞬間を目にしているのかもしれない。毎週続く厳しい闘いの中で、的確に課題を見据え、克服すべく選手たちは全力を尽くしている。

前半7試合を終え3勝4敗。リコーラグビー部は13の勝ち点と、後半6試合、そしてその先の未来に生きるであろう大いなる経験を積み重ねた。この経験を力に変えて挑む次戦は1ヵ月後。11月29日(日曜日)14時から、近鉄花園ラグビー場での近鉄ライナーズ戦だ。

photo

当日のハーフタイムにおいて行われた「ファン・オブ・ザ・マッチ」抽選会でファンバナを大きく振って元気に応援してくださったファンの方々。

(文 ・ HP運営担当)

PAGE TOP