2010-2011 トップリーグ 第12節 対 三洋電機ワイルドナイツ

2010.12.30

エリソン、横山伸が連動し同点トライ

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 13時、群馬県・太田市運動公園陸上競技場にホイッスルが響き、三洋電機のキックで試合が始まる。左サイドに飛んだボールをFLマイケル・ブロードハーストがキャッチ。ラックより22mラインをわずかに越えた位置からSO河野好光がハイパントをあげる。これが風に流され、ダイレクトタッチとなり最初のピンチを迎える。

三洋電機はラインアウトからアタック。中央22mライン付近で縦の突破を図る。ラックから12番、6番が左へ流れながらゲイン。ゴール前左中間のポイントから、オープン側を縦に突いた8番がトライ。開始1分で三洋電機が先制。コンバージョンは外れたが0対5。

試合再開のキックをSO河野は左サイドへ。競り合いとなりこぼれたボールが三洋電機の選手の足に当たりタッチラインを割る。22mラインまであと少しの位置でリコーはラインアウトを得る。このマイボールをしっかりキープしフォワードがサイドを突くと、中央付近でLOカウヘンガ桜エモシ(カウヘンガ)がディフェンスラインに突っ込む。ボールがこぼれたが、これを拾いにいった三洋電機がノックオンし、リコーがスクラムを得る。

三洋電機がこのスクラムでペナルティ、ホイッスルと同時にNO.8ハレ・ティーポレがタップキックしてリスタート。縦に走り22mラインを突破。ラックからSH池田 渉が左に出すと、三洋電機のディフェンスが鋭くプレッシャーをかけてくる。リコーは左サイドタッチライン際でラックをつくると、オープンサイドをLOカウヘンガが縦に突進。さらにSH池田が順目に、今度はCTBタマティ・エリソンへパスを出す。中央22m手前でボールを受けたエリソンは一度パスをするフェイントを見せた後、ディフェンスライン裏右隅に向かいグラバーキック。これにFB横山伸一が鋭く反応し飛び出す。ゴール前で処理にいった三洋電機15番がこぼしたボールを拾うと、フォローに走っていたCTBエリソンにパス。すばやく右中間からゴールラインを越え、回り込んでゴール右にトライ。5分、リコーが5点を取り返す。コンバージョンも決まり7対5と逆転する。

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 勢いに乗りたいリコーは、キックオフボールを右サイドで確保するとSO河野がキック。三洋電機がこのボールを展開するとCTBエリソンがタックルで三洋電機の攻撃を止め、ラック内でターンオーバー。FLブロードハーストが密集から前方へ飛び出し、左中間を走って三洋電機陣内10mライン付近までゲインする。

ラックから後方へ出したボールをSO河野がキック。向かい風の中飛び、三洋電機の選手がこぼしたボールをしっかりチェイスしたWTB小松大祐が確保。前へ出て突破を図り、再びできたラックから左に展開。SH池田、FLブロードハースト、SO河野とつなぎタップパスで、ライン際を走るFB横山伸へ。これは惜しくもつながらずボールはタッチラインの外へ。リコーはチャンスを逃す。

10分、リコーは自陣左サイドのマイボールラインアウトを奪われると、三洋電機の8番にギャップを突かれ縦に突破される。ゴール前で追いついたディフェンダーが食らいつくが、手を伸ばしグラウンディングされトライ。7対10と三洋電機が逆転。コンバージョンも決まり7対12に。

攻め続けるリコー、徐々に力示す三洋電機

 13分、キックオフボールを三洋電機が蹴り返しリコー陣内22mラインの内側でバウンドしてタッチを割る。
このラインアウトをリコーは再び奪われる。三洋電機は長いパスを使ってワイドにアタック。8番が左中間を突破。外側を走りゴール前でパスを受けた4番がインゴール真ん中に回り込みトライ。コンバージョンも決まりリコーは7対19と点差を広げられたが食らいついていく。

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 SO河野が左サイドへ蹴り込んだキックオフボールの落下地点でターンオーバー。CTBエリソンが前方へ大きく前進し22mラインに到達。左中間のラックサイドをLOカウヘンガが縦に突く。三洋電機も必死のディフェンスを繰り返す。

リコーはゴールまで約10mの位置で攻撃を続け、様々な選手が繰り返し突破を図っていくと、三洋電機のタックルでCTB山藤史也の首に手がかかったとしてハイタックルのペナルティ。ショットを選択したリコーは16分、ほぼ正面からSO河野がゴールに成功。10対19と点差を縮めた。

リコーは攻め続ける。自陣右サイドで得たペナルティキックを蹴り出し、ハーフウェイライン手前のラインアウトからパントを蹴る。三洋電機にボールは渡ったが、蹴り返しのグラバーキックを左サイドで拾ったFB横山伸がカウンターアタックを仕掛ける。

自陣10mライン付近まで前進し展開。今度は右サイドをWTB星野将利が突く。タックルを受けても倒れず、粘る。サポートが入りマイボールを継続、SO河野が敵陣へキックを上げると中央10mライン付近で三洋電機がノックオン。

マイボールスクラムで三洋電機がスクラムを不正に回したとしてペナルティ。NO.8ティーポレが素早くリスタートして攻め込むと、三洋電機にノット10mバック。再びリコーのスクラムに。22mラインが間近に迫る。

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 スクラムは三洋電機が押し崩されたが、LOカウヘンガがボールを縦に持ち出し、22mラインに到達。左中間のラックから左へ、ショートサイドに展開するとSO河野がライン裏へキックを転がす。ボールを処理にいった三洋電機の選手に、反応よく飛び出してきたCTBエリソンがタックル、倒すが三洋電機がボールをキープ。ラックから出したボールをロングタッチキックで22mラインを越えた位置まで戻されてしまう。リコーはいい攻撃の形で攻めたがトライには至らなかった。

ここから三洋電機が得点を重ねる。25分には三洋電機陣内でリコーがこぼしたボールをターンオーバーし攻め込むと、ペナルティを得てゴールに成功、10対22。28分にやはり反則を突いて前進、中央ゴール前から左に展開し11番がトライ(ゴール成功)。40分にはリコーがスクラムでコラプシング、ゴール前右サイドスクラムのオープンサイドを8番が突きトライ。コンバージョンも成功し10対36で前半を終えた。

リコーにも34分、22mラインの手前から突破を図ったWTB星野にタックルした相手選手がタックル後立ち上がらない反則で得たペナルティキックなど、得点のチャンスはあったが、ミスやペナルティが出てしまい、逆に得点につなげられた。28分にPRが伊藤雄大から柴田和宏に交代。

ミスを逃さない三洋電機

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 風上にたった後半、リコーはNO.8ティーポレに替えて覺來 弦、FB横山伸に替えてCTBロイ・キニキニラウを送る。エリソンはCTBからFBにポジションを変える。

2分、FBエリソンのタッチキックで三洋電機陣内に攻め込むが、コラプシング、オフサイドとモールで2回反則を続け、リコーは自陣に戻される。

さらにラインアウトから8番の突破に対しホールディングの反則。三洋電機はタッチキックでリコーのゴール前ラインアウトとすると、モールを組み右中間を前進し4番がトライ。コンバージョンも決まり10対43。6分、LOカウヘンガに替えて金 栄釱。ブロードハーストがFLからLOヘ、金はFLに入る。

7分、リコーは自陣10mライン付近に飛んだキックをWTB小松がキャッチ。カウンターアタックを仕掛け前進、三洋電機陣内10mライン付近までゲインする。左中間のラックからショートサイドにボールを出し、左サイドをFBエリソンが前へ。つかまるがフォワードがサポート。モールで22mラインまで押し込み、ボールを展開。SH池田、SO河野、FL金とつなぎ、22mラインを超えて右サイドを攻める。さらに展開、CTB山藤が右中間でラインブレイクを狙う。しかし、ラックから左に出したパスをノックオン。

三洋電機はスクラムからタッチに蹴り出す。リコーは右サイドのラインアウトから再びアタック。FBエリソン、NO.8覺來が右サイドの突破を狙うが三洋電機陣内10mライン付近のラックでターンオーバーを許す。9番が独走、最後はフォローに走っていた11番につなぎトライ。コンバージョンは外れたが10対48に。

15分、三洋電機陣内10mライン付近のラインアウトボールを奪われたリコーは、自陣に攻め込まれる。三洋電機は左サイド10mライン手前の位置からキック。FBエリソンが転がったボールをキャッチするとチェイスしてきた3人のディフェンダーが囲み、エリソンにパスを出させる。それを3人の背後から飛び出した相手15番がインターセプト。ゴールに迫るとフォローについていた17番にパス、そのまま走りきり左中間にトライ。コンバージョンも決まって10対55。16分、リコーはLO相 亮太に替えて金 泳男。

全員攻撃で意地のトライ奪う

 17分、リコーはCTBキニキニラウ、SO河野らの縦への突破などを生かし再び攻め込み、22mラインを越えていく。しかし14番にパス奪われ三洋電機が逆にアタック。ライン裏のスペースへキックを蹴り、両チームのWTBがボールを追う形になったが、星野が間一髪のところでデッドボールラインの外側へボールを蹴り出す。

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 三洋電機は右中間の5mスクラムの オープンサイドをフォワードが突き17番が突破。ゴール正面にトライ。コンバージョンも決まり10対62。

点差は開いたが、リコーの攻め続ける姿勢がトライを生む。

21分、SO河野が右サイドでわずかなギャップを見事に突き22mラインを越え、これを足がかりにリコーが猛然と三洋電機フォワードにアタック。CTBキニキニラウ、山藤、NO.8覺來と次々とゴール目指し突破を狙いながら少しずつゴールに近づいて行く。左サイドにできたラックから右にラインを整えていたバックスへ展開、SO河野、WTB星野とつないで右サイドを突き、ゴールまであとわずか。さらにボールをつなぎCTBキニキニラウが手を伸ばしグラウンディングしトライ。コンバージョンも決まり17対62に。

その後、27分から数分にわたりアタックを続け左中間をFBエリソンが突破、フォローしたCTB山藤につなぎゴール目前に迫るなどチャンスはつくり続けたが三洋電機のディフェンスに阻まれこれ以上の得点はならなかった。逆に三洋電機に2つのトライを追加され17対74でノーサイド。

 試合後の記者会見で語られた敗因は「受けに回ったこと」だった。

「三洋電機をリスペクトしすぎたのかもしれません。受け身のゲームをしてしまいました」(トッド・ローデン監督兼ヘッドコーチ)
「前に出て肩を当てるのがリコーのディフェンス。それなのに今日は前に出ず、止まった状態で三洋電機のアタックを受けてしまった。それがアップテンポな攻撃をされてしまった理由かもしれません」(SO河野)

今シーズン自分たちがやってきたことを試す――そんな意識で立ち向かった選手にとっては悔しい結果となった。しかし、最後まで諦めずアタックを仕掛け、倒されても、倒されてもトライを目指し続けたことは、自分たちのラグビーを貫ぬき「攻める」というリコーの姿勢の表れだ。

選手の目標は高い。
「(気持ちは切れていなかったのでは?)でも、気持ちだけじゃだめ。三洋電機に勝つために、今週話しあってきたことが、実行できてなかった。相手が強いのはわかっていたこと。それに勝つためにするべきことができていなかった。実行力。少し時間があるので、ヤマハに勝つためにすべきことをよく考えて、実行できる状態にしたい」。この試合にフル出場し、チャレンジし続けた山藤は今シーズンでもっとも悔しそうな表情を見せながら、試合を振り返った。

「やろうと思っていたことはあったけれど、その前にディフェンスができなかった。僕らはやっぱり(前に出る)ディフェンスから。前半から勢いよく闘って、相手を受けに回らせないといけない」。WTB小松も反省の弁を述べる。

トップリーグ最終節は、2011年1月10日(祝)12時から、大阪・近鉄花園ラグビー場でヤマハ発動機ジュビロとの闘い。日本選手権出場をかけるワイルドカードトーナメントに出場するには、勝利が不可欠となった。攻め続けて、リコーらしさでノーサイドを迎えたい。

(文 ・ HP運営担当)

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