2014-2015 トップリーグ 2ndステージ 第2節 vs近鉄ライナーズ戦

2014.12.11

開始直後からテンポの良いアタック連発。試合の流れをつかむ

 第2節の相手は近鉄ライナーズ。1stステージでは23−28で惜敗した。試合終了直前、FLマイケルブロードハーストがインゴールに飛び込み、同点トライかと思いきやダブルモーション(タックルで倒されながらボールを離さずプレーを続けた)という判定でペナルティとなり、紙一重で敗れた試合は記憶に新しい。

近鉄には昨シーズンの二度の対戦、また2012-13シーズンでのリーグ戦とワイルドカードトーナメントでも敗れており公式戦5連敗中。最後の勝利は2011年12月18日、京都・西京極でCTBマアノヌーらを擁し戦った試合(43−22)で、ほぼ3年間勝利から遠ざかっている。連戦の2ndステージの戦いに勢いをつけるため、絶対に勝たなければいけない試合だった。

 開始直後の1分、近鉄陣内浅めのラインアウトから展開し、リコーがテンポのよいアタックを見せる。ワイドにボールを動かし、接点では素早くサポートが入りしっかりボールキープ。近鉄の守りも堅かったが、FL柳川大樹のゲインなどで22mラインを越えていく。

約3分にわたって攻め、SOコリン ボークから大外のWTB長谷川元氣に出した勝負のパスがスローフォワードとなる。だがその前に反則があり、リコーはほぼ正面のPGをFBピータースダニエルが決めて3−0とした。(5分)
接点でプレッシャーをかけ、クイックボールを出して攻めていくリコーのアタックからは、集中力と状態の良さがうかがわれた。

その後、リコーはキックの蹴り合いから相手のミスを突き、敵陣でスクラムを得るとこれを優勢に押す。しかし最終列の後ろにこぼれたボールを近鉄がさらい一気にゲイン。自陣に攻め込まれたリコーはディフェンスに回るが、プレッシャーをかけノットリリースザボールを獲って守りきる。(13分)
攻撃に転じたリコーは、ラックからSH山本昌太が出したボールを受けたCTB山藤がギャップを直線的に抜けてゲイン。ゴール前に攻めこむと近鉄にオフサイド。リコーは正面やや左20m付近から確実にPGを決めて6−0。(16分)

 リコーにチャンスが続く。自陣でアタックを受けるが、相手のハンドリングミスでスクラムを得る。さらにそのスクラムで近鉄が反則。リコーはペナルティキックで敵陣に入っていく。
ラインアウトをキープし、テンポ良く攻める。左サイドをFLマイケル ブロードハースト、FBピータース、WTB星野将利とつないでえぐりゲイン。ここで近鉄にオフサイドがあり、リコーは左サイドにタッチキックを蹴ってラインアウトで勝負する。
モールを押しゴールに迫るが、ラックになり近鉄が反則。再度ラインアウトにしたリコーはもう一度モールでトライを狙うが近鉄がしのぐ。しかし、左中間のゴール目前のラックからSH山本が出し、SOボークが中央を突く。止められるがボークがリリースしたボールを山本が拾い、パスする動きを一瞬見せてからポスト右に飛び込みトライ。(25分)
CGも決まり13−0とリコーがリードを広げた。

 直後、リコー陣内で近鉄がアタックを見せ、リコーにオフサイド。正面やや右約20mのPGを決めて13−3。(30分)さらに攻める近鉄は、スクラムでペナルティを獲って前進、ハーフウェイライン付近のラインアウトからのアタックでリコー陣内に侵入する。
主導権を奪い返そうとテンポを上げて攻める近鉄。リコーも必死に守るが、じりじりと前進を許し22mラインが見えてくる。
ここでSH山本がビッグプレー。左中間を攻める近鉄の9番がラックから取り出したボールを8番へパス。ここに山本が走り込みボールをインターセプト。80mを走り切って右中間にトライを決める。流れが変わりかねない場面での価値あるスコアで18−3。(34分)CGも決まって20−3とリードを広げた。
残り5分、リコーはキックでエリアを確実に獲り不要な失点のリスクをうまく下げて戦っていく。ラストワンプレーでボールを奪ったリコーは10mライン手前からSOボークがDGを狙うがこれははずれ前半を終える。

牧田がミスマッチ突いてトライ。ディフェンスのクオリティも保ち、まさに快勝

 後半もまずリコーがアタックを見せる。SOボークが相手の最終ラインの手前にボールを落とし、走り込んでプレッシャーをかける。この処理で近鉄にノックオン。近鉄陣内のスクラムを得るとリコーはこれを起点に攻める。
前半の入りと同じように、ワイドにボールを動かしテンポ良くアタックを仕掛け、ゴールまで10mくらいのゾーンまで攻め込む。ここで、SOボークが左中間から外に向けてゴロキック。CTB牧田旦がインゴールに走り押さえにいくが、タックルを受け惜しくもトライならず。(4分)

リコーは再度アタック。ハーフウェイライン付近から粘り強くフェイズを重ね、チャンスを待つ。LOロトアへア、FLブロードハーストらが強く縦に攻め相手を引きつけると、ギャップにスピードに乗ったWTB長谷川が走り込んでブレイク。22mラインの内側に攻め込むと、HO滝澤佳之につなぎさらに攻める。すると近鉄がパスを前方に叩き落とすインテンショナルノックオン。

 ペナルティキックをタッチラインの外側に蹴り出し、リコーはゴール前ラインアウトから攻める。一度ボールを奪われエリアを押し戻されたが、ラインアウトから再度アタック。ボールをキープして粘り強く攻めトライを狙っていく。激しいフィジカルバトルを経て左中間にFL柳川が飛び込んだが、惜しくもグラウンディングならず。

しかし再開のスクラムからまた攻めるリコーは、一旦右側のオープンサイドにボールを展開。ポイントをつくり、ボールを戻すとSOボークから中央のCTB牧田へパスが通る。牧田の前にはフォワードの選手が1人のミスマッチ、さらに外をWTB長谷川が走りディフェンスを引きつける。牧田はスペースに仕掛け、相手を置き去りにして左中間インゴールに飛び込みトライ。左中間からの角度のあるCGにも成功し27−3。リコーがさらにリードを広げていく。(11分)このスコアの後、NO.8マウ ジョシュアを武者大輔に交代。武者がFL、ブロードハーストがNO.8に入った。(13分)

リコーの勢いは止まらない。ハーフウェイライン付近のラインアウトから近鉄が右中間を攻めるが前に出て止めていく。プレッシャーをかけると、鋭く飛び出したLOロトアヘアがパスに反応しカット。またもインターセプトに成功し自陣から一気に走り切ったロトアへアは左中間にトライ。(17分)4つめのトライで、リコーはボーナスポイント1を獲得。CGも成功し34−3とした。リコーはここでPR大川創太郎を柴田和宏に交代。

 後半の残り20分は近鉄が攻める時間が長くなったが、リコーはディフェンスで魅せる。30点以上の差がついても、自分たちのスタンダードをグラウンドで見せることにただ集中。ディフェンスラインのリロードを繰り返す。黒い壁が近鉄のランナーを跳ね返す場面が続く。
25分にHO滝澤を森雄基、LO馬渕武史をカウヘンガ桜エモシ、SOボークをタマティエリソンに交代。さらに30分にSH山本を池田渉、PR藤原丈宏を髙橋英明、WTB長谷川を松本悠介に交代。メンバーが代わってもプレーのクオリティは全く変わらず、リコーが試合をコントロールする。
ホーン後、一瞬の隙を突かれ近鉄7番に右サイドタッチライン際にトライを決められたが34−8でノーサイド。2ndステージ開幕2連勝のリコーは総勝点を12、得失点差を31として、グループB首位に立った。

 マンオブザマッチはSH山本昌太が選ばれた。また、6本のプレースキックを全て決めたFBピータース ダニエルは総得点を98点(トライ3・CG22・PG13)として、得点ランキングでトップの五郎丸歩(ヤマハ発動機)と2点差の2位に浮上した。

本当にいい準備ができた。チーム全体で目標に向かっているという感覚を持って試合に臨めた(神鳥裕之監督)

神鳥裕之監督

うれしいです。近鉄さんにはトップリーグでしばらく勝てていなかったので、苦手意識がありました。ですからなんとしても勝ちたかった。そういう試合で、選手たちはいいパフォーマンスを出してくれたと思います。
1stステージの課題を振り返りながら過ごしてきたウインドウマンス、またこの一週間、チームが一丸となって準備してきて、その結果が出たと思う。本当に満足しています。最後に許したトライは次への課題ということで。気を引き締めてやっていきます。
(今年2回目の対戦だったが、どのようなことを意識して戦ったのか)対近鉄というよりは1stステージを通して接戦を勝ちきれなかったという反省点を持って、トライを獲りきるというテーマを持ってトレーニングしてきました。そこについて選手がよく実行してくれたと思います。具体的には敵陣での戦い方、22mラインの内側に入ったときのボールの動かし方、そういったところは、昌太(SH山本)を中心にいい判断でボールを外に運べていましたし、よく機能していたと思います。
(大差になった理由はどこにあると思うか)セットプレーが安定していたことがあるかと思います。ただ点差については勝負のあやですので、特別な力の差はないと思います。
(ディフェンスの評価は)前半はミスタックルも目立ってスタンダードに達していなかったと思います。後半はエッジの部分からのラインスピードだったり、ブレイクダウンの激しさであったりは求めているレベルにあったと思います。【以上共同記者会見にて】

今季一番でしたね。勝ちたい試合でしっかり勝てたというのは、チームとしての成長だと思うし、この試合を勝つか負けるかでこの先が変わっていくというメッセージを出していましたので。
(良いプレーは数多くあったが、何より身体が軽く、コンディションが良さそうに見えた)本当にいい準備ができたんです。近鉄の動き、特徴なんかを頭に入れたメンバー外の選手がメンバーの選手にしっかりプレッシャーがかかるテンションの高い練習をさせてくれた。今までも当然やっていたんですけど、この一週間は、それ以上にチーム全体で目標に向かっているという感覚を持てました。だからいい準備ができたという自信はいつも以上にあって、それが今日の勝利で確信になったというか。
SH神尾(卓志)だったり、CTB小浜(和己)、若いんですけどHO芳野(寛)だったりが、よく声を出して練習を盛り上げてくれた。彼らが中心となってメンバー外の選手に「チームの成功に欠かせない貢献をしている」というメッセージを発してくれていたことが、今日の勝ちにつながったと思っています。今回ぐらいの準備をスタンダードとして、これからやっていきたいですね。
(試合については、前半のディフェンスに多少課題があったとのことだが)基本的にはラインスピードはありましたし、ディフェンスブレイクダウンの圧力もよかった。主にはタックルクオリティの部分ですね。後半に比べると前半のほうが、タックルミス、それからラインスピードが落ちる場面が少し多かった。ただハーフタイムにコーチがしっかり修正してくれたと思います。
(アタックについてはシェイプの変更も)今回特別変えたわけではないです。フラットに、インサイドに、アングル変えて入っていったことのことだと思いますが、それも春からずっとやってきたことの1つです。ようやく試合でのパフォーマンスに出せるようになったのだと思います。
(フォワードはスクラム、ラインアウトも安定していた)ラインアウトモールでトライを獲りきれなかったというのはありますが、その後のリカバリーがしっかりできていて、獲りきっていたという評価もできます。22mラインに入ってからの戦い方についてはよかったと思います。
(終盤のディフェンスは気迫を感じた)点差を守って勝つぞというメッセージ出していました。それだけに、最後の最後でトライを獲られてしまったのは残念。ああいうところで守りきれるチームを目指したいですね。こういう良い内容の試合の後どんな試合をするかが大事なので、次もしっかり戦います。

PR藤原丈宏

 みんなディフェンスで集中して前に出られている。横とのコミュニケーションがよく取れていると思います。(今日の勝因はディフェンス)はい。ディフェンスで前に出られていたことがインタ—セプトにつながったというのもありますし。個人的には勝負どころのスクラムでペナルティ獲られてしまったし、反省点があります。(全体を通してスクラムは優勢だったように見えたが)100%にしたい。まだ安定していないところもあるので、確実に力を出していけるように。

HO滝澤佳之

 (前回の対戦と比べ、ブレイクダウンでかなり優勢に戦えていた)自信持ってプレーできているというのも大きいですね。結果も出ているし、みんなが自分たちのラグビーを信じてプレーできていると実感しています。(グラウンド上でメンバーに声をかけた言葉はあったか)自分から特別なものはなかったと思います。一人ひとりが考えて動けているので。僕は個人の役割を果たすことに集中させてもらいました。セットプレーをまかされていたので、プレッシャーかけていこうと。
スクラムでボールを獲られた場面があってそこは反省点ですけど。あとはモールで獲れなかったのも。向こうはモールに対してはかなりアグレッシブだった。残り5mからあと一押ししたかったですね。(対策されている?)それもありますけど、あそこは獲りきりたいですよね。ダン(FBピータース)のキックでかなりチャンスをもらっていたので。

LO馬渕武史

 勝ててうれしかったです。開幕2連勝というのは初めてなので。近鉄にも公式戦5連敗していましたし。やっと勝てたという思いです。
今日はアタックしていた時間が長かったというのが良かったです。ウインドウマンスに整備したブレイクダウンがちょっとずつ良くなっているのかなと。相手より速く寄るとか、低くいくとか、2人目、3人目の集散の部分。そういうのが浸透してきていると思います。
(個人的なテーマは)相手の7番の選手がブレイクダウンのキープレーヤーだと思っていたので、ジャッカルされないように注意していました。

CTB牧田旦

 まず、今日の試合に勝てたということ。4トライのボーナスポイントを獲って、また相手にボーナスポイントを与えずにしっかり勝てたので良かったです。
意識していたのは、ディフェンスでは大きな外国人選手に対ししっかり体を張るということ。アタックでは自分の役割である力強く前に出るということ。そこはできたかなと思います。
(開始から激しく攻め、勢いに乗ったように見えたが)試合の入りの部分は厳しくいこうと話していました。全体でそれを認識として、スイッチを入れられたというのは良かったと思います。
(トライシーンについて)目の前の選手がフォワードでミスマッチでした。さらにWTBの長谷川元氣さんが外にディフェンスを引きつけてくれたので、できたスペース走り込むだけでした。前を見て、いいところに走れたかなと思います。(自信を持ってプレーしているように感じたが)毎試合必死です。ポジション争いでもまだまだ厳しいところにいるので、必死にプレーしてアピールしていかないと。今日は良いパフォーマンスを出せたと思いますが、これを基準にもっと高いレベルに持っていきたい。

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