【Review】トップリーグカップ2019 第5節 vs マツダブルーズーマーズ

2019.07.24

多彩なアタックで圧倒。リコーらしい7つのトライを奪う。

第4節、雨中の近鉄戦で逆転負けを喫したリコー。トップリーグカップの締めの一戦は秩父宮ラグビー場にマツダを迎え戦うこととなった。目標としていた決勝トーナメント進出は果たせなかったが、リコーらしさを示しながら全力で戦い、来年1月のトップリーグ開幕に向けていいイメージを残すことが重要なゲームとなった。

 

曇天で蒸し暑いコンディションの秩父宮。マツダ10番のキックで試合が始まる。入りはマツダが攻め込む。リコーは自陣でのノックオンやノットリリースザボールなどが続いたが、ゴール前ラインアウトからのモール、アンプレアブルからのスクラムを耐えると、コラプシングを獲って得たPKでエリアを取り戻す。(前半5分)

 

左サイド、ハーフウェイ手前のラインアウトから展開。右中間をCTB牧田旦が突くと、オフロードパスをFBロビー・ロビンソンへ。ロビンソンはすぐに外のWTBアマト・ファカタヴァにパス。アマトは右サイドを走り22mラインを越えていく。ゴール目前で囲まれると内側をフォローしたNO8松橋周平へパスし、松橋は右中間にトライ。FBロビンソンが蹴ったCVはポストに当たり不成功も5-0とリコーが先制する。(前半7分)

 

相手のオフサイドで得たPKで敵陣22mライン付近まで前進したリコーは、ラインアウトモールで右中間を前進。うまくドライブしてトライラインを越え、ここもNO8松橋がグラウンディングする。直後もマツダがハーフウェイ付近で回したパスをカットしたCTB牧田が左中間を独走。CVはいずれも不成功も、2つのトライで15-0とした(前半12分)。

 

リコーはさらに攻める。ハーフウェイ付近のディフェンスでFLボークコリン雷神がボールキャリアを倒しボールを狙うとノットリリースザボール。PKで前進し敵陣22mライン付近へ。左サイドからのラインアウトをキープし、外側に向けてやや角度をつけて走りこんだCTB濱野につなぐと、そのまま抜けて左中間にトライ。WTB 高平拓弥が蹴ったCVははずれたが20-0とした。(前半16分)

 

4つのトライで引き離したリコー。この後は一進一退となり少し落ち着いたが、BKがキックなどで相手を動かしこじあけにいく。前半27分、自陣からのアタックでSO堀米航平が外に立つWTB高平へキックパス。これが通り高平は守りが手薄だった左中間をゲイン。堀米はさらにスペースへの的確なキックも蹴り状況を動かしていく。

 

自陣からの脱出を図ったマツダのグラバーキックを左サイドのタッチライン間際で拾ったSH山本昌太が、ダイビングパスでFBロビンソンへつなぐとカウンターアタック。絶妙なランコースを走りディフェンスをかわし、そのまま中央のインゴールへ。5つめのトライとSO堀米が決めたCVで27-0とした。(前半31分)

 

リコーは手をゆるめることなく攻め続ける。前半34分、敵陣で得たPKをタッチに出してゴール前ラインアウトに。HO森雄基に戻すサインプレーでトライを狙うがノックオン。マツダスクラムになる。

 

だがスクラムをリコーが押し込むとマツダが落とす。反則の繰り返しを理由に1番にイエローカードが出される。替わって入った17番を加えリコーボールのスクラムとなるが、これをリコーが猛然と押し前進。トライラインを越えると再後尾のNO8松橋が押さえてトライ(CVは不成功)。32-0とした。(前半38分)

 

前半終了間際、左サイドハーフウェイ付近のマツダのラインアウトでボールを奪ったリコーは展開。右中間を突いたCTB牧田から後ろ手のパスを受けたWTBアマトがギャップを突き強いフィジカルを見せて粘る。右サイドのラックから出したボールをSO堀米はFLボークへ。ボークはPR大川創太郎へパスすると、背後を走りボールを再度受け取ると前に抜け中央インゴールにトライ。CVも成功し39-0として前半を終えた。

 

ラインアウトモールとスクラムで1つずつ。ラインアウトから展開する攻撃で3つ。インターセプトとカウンターアタックで1つずつとバラエティに富んだ攻撃で7つのトライを挙げる充実の前半となった。

途切れぬ集中力。生まれたスペースをしっかり突き快勝

後半はFBロビンソンのキックで始まる。メンバー入替はなし。鋭くチェイスするリコーの姿からは後半もゆるむことなく戦おうという意思がうかがえた。

 

激しいリコーディフェンスのプレッシャーの中でマツダが蹴ったキックがタッチを割る。マツダ陣内中盤でリコーがラインアウトを得る。これをキープして攻めるとマツダにラックで反則。リコーはPKで22mラインの内側へ。

 

右サイドのラインアウトで、リコーが選んだのはモール。ここはマツダが押し返してきたが、これを見てBKへ。SO堀米から後方のWTBアマト。アマトはディフェンスを引きつけFBロビンソンへオフロードパスをつなぐ。ここでがら空きとなった左サイドのスペースに走ったのがWTB高平。ロビンソンからのパスを受けると左中間にトライ(CV不成功)。44-0とする。(後半4分)

 

再開後、リコーのキックを自陣でキャッチしたマツダが、右中間をキャリーしてフェイズを重ねていく。リコーもこれをしっかり受け止めて力の勝負が続く。しかしリコー陣内10mライン付近でボールがこぼれリコーに入る。アタックに意識を向けていたマツダはディフェンスのセットが間に合わず、これを見たリコーは逆サイドに振ってWTBアマト、SO堀米、NO8松橋とつないでゲインしていく。松橋はステップでディフェンスを振りきって40mほどを走り右中間からインゴールに入り中央にトライ。CVもSO堀米が決めて51-0。トライの後、リコーはHO森を新戦力のベン・ファネルに、CTB牧田をロトアヘアアマナキ大洋に入替。(後半8分)

 

その後も右サイドタッチライン際をWTBアマトとCTBアマナキ大洋のコンビネーションで破りかけたり、FBロビンソンのパスでWTB高平が左サイドのスペースを狙ったりとリコーは攻め続ける。

 

PR辻井健太を眞壁貴男に入替。(後半16分)さらにラインアウト後のボールの争奪でFLブロードハーストマイケルが左腕を負傷し湯川純平と交替する。(後半17分)

 

リコーはなおもマツダ陣内中盤でアタックするが、闘志を見せるマツダディフェンスに阻まれ、スコアに至らぬまま時間が過ぎていく。パスカットを狙い前に出たCTBアマナキ大洋がかわされてビッグゲインを許す。ここはWTBアマトと高平、FL湯川らが戻ってディフェンスし守りきった。

 

PR大川を千葉太一に(後半21分)、WTB高平をキーガン・ファリアに入替(後半23分)。

 

リコーは自陣スクラムから展開。FBロビンソンが外のスペースを狙ってキックパス。高く弾んだボールに飛びついたWTB高平に対して、マツダ15番がタックル。これが空中にいる状態の選手へのタックルだったとしてイエローカードが出る。

 

PKで前進したリコーは左サイドのラインアウトから展開しパスをつないで攻める。右サイドのポイントからの折り返しもパスをうまくつなぐと、外にWTBファリアを残した状態で左中間をCTBアマナキ大洋が突く。ランコースで牽制して広がったギャップを突くとそのままインゴールへ。ファリアが蹴ったCVははずれたが56-0とする。(後半25分)

 

リコーは引き続き集中力を見せる。WTBアマトにボールを持たせて右サイドを突かせると、相手を弾き飛ばして前進していく。右中間22mラインの手前でスクラムを得ると、ブラインドサイドをもう一度WTBアマトが突く。そのまま抜けてインゴールに達しトライ。この日5人目のプレースキッカーとなるFLボークが難しい角度のキックを決めて63-0とさらに点差を広げた。

 

この後、LO柳川大樹を馬渕武史に、SHの山本を高橋敏也に入替。(後半29分)

 

再開のキックを確保したリコーは、中央をPR千葉が抜けてビッグゲイン。これに反応したアタックラインにすぐさま展開し右サイドへ。ボールを託されたのはまたもWTBアマト。タッチライン際を抜けインゴールに達しトライ(CV不成功)。68-0。(後半31分)

 

まだまだ攻めるリコーは、ハーフウェイ付近からのCTB濱野のグラバーキックを WTBファリアが追いつき、さらにキックしてインゴールに転がし押さえにいく。デッドボールライン目前で押さえたかに見えたが惜しくもノックオン。(後半32分)

 

後半36分にはHOファレルがHIAで一時退出。森が戻った。その直後、FBロビンソンがランで鋭い突破を見せマツダ陣内深くに攻め込む。しかし映像判定でオブストラクションの判定が下された。

 

しかし、自陣でのマツダボールのラインアウトにてオーバーしたボールをFL湯川が確保。ポイントをつくると右に展開しCTBアマナキ大洋が抜ける。フォローしたSH高橋へのパスをうかがわせながら、足の止まったディフェンスをかわし左中間インゴールへ。ここもアマナキ大洋のブレイクに際しオブストラクションがなかったかが映像で確認されたが、今度は不問とされトライに。CVも成功し75-0。(後半37分)

 

残り3分を切ってもリコーは足を止めることなくアグレッシブなプレーを見せる。自陣でのスクラムでペナルティを獲りPKで前進。敵陣の10mラインを越えたあたりのラインアウトをキープすると中央をCTB濱野が抜ける。ゴール目前で捕まるが、倒れる間際に背後を走りフォローしていたNO8松橋へ丁寧にリリース。松橋はガッチリと受け止め、中央インゴールへトライ。ともに80分間出場しチームを鼓舞してきたキャプテンとバイスキャプテンでボールをつなぎこの日14個目のトライ。CVも決めて82-0に。

 

最後のリスタートキックはマツダが確保し攻める。しかしリコーがゲインを許さず、ノックオンが出たところでノーサイド。しっかりと戦い抜いたリコーは、スコアを許すことなく勝利。うまく結果の出なかったトップリーグカップとなったが、最後のゲームで持ち味は見せてみせた。マンオブザマッチにはNO8松橋周平が選ばれている。

 

監督・選手コメント

神鳥裕之監督

神鳥裕之監督

今日はどうもありがとうございました。我々にとってはカップ戦の最終戦ということでしたから、自分たちのスタイルをしっかりと出して1月につなげられるような試合にしようと。相手を0にする。点数の展開上ルーズになりそうな場面でも、ストラクチャーを守ってディシプリンをつくる。そういったことができたゲームになったと思います。自制のあるプレーをした選手を誇りに思います。マインドセットの難しさであったり、ビッグスコアになったときの自制の気持ちだったりは、1月に向けて収穫になりました。少し時間が空きますが、しっかりと準備をしていい状態で開幕を迎えたいと思います。【以上共同記者会見にて】

 

いいイメージを持って次のステージに向かいたかったので、チームが持っているベストを出すというスタンスで臨みました。NEC戦でうまくリズムをつくれず後がなくなって、神戸製鋼戦で結果が出ず、近鉄戦はモチベーションが難しい試合になってしまった。今日はプレッシャーから解放されて、自分たちらしいプレーができたのかなと上から観ていて思いました。いい意味で開き直ったというか。本来はこれくらいのパフォーマンスを出せる選手たちなんです。

 

(80分間ゆるむことがなかった)コーチ陣が統一したメッセージをハーフタイムに出してくれました。自分たちのスタイルというものがようやく確立し始めている中で、近鉄戦では不甲斐ない姿を見せてしまった。今日はリコーってこんなチームなんだという存在感を示そうと。それができたと思います。

 

CTB濱野大輔キャプテン

本日はありがとうございました。最終戦ということで、アタックであればしっかりアーリーセットして我慢強くやり続けようと。ディフェンスであれば、14人が立って強みであるラインスピードを。徹底して基本的なことを1週間やり続けて、それが80分間やり通せたことは今日の収穫だと思います。

ただ、僕らのスタンダードとしてはこのレベルを目指しているわけではありません。僕らが目指しているのは日本一。それは僕だけではなくて全員の思い。リコーはチーム一丸となって、1月のトップリーグに向けていい準備を続けていきたいと思います。【以上共同記者会見にて】

 

PR眞壁貴男

6月の近鉄とのオープン戦での脳震とうの影響で3週間ほど休養していました。PR辻井(健太)さんも、PR西(和磨)もいいプレーをしていて試合に出るタイミングがなかったのですが戻ることできました。

久しぶりの試合で、セットプレーなどでは後半に入ってきたメンバーとうまくいかない部分もあったんですけど、フィールドプレーはいつものリコーのスタイルをやろうと言っていて、それができたのではないかと思います。コミュニケーションもしっかりとれていました。

(0に抑えるというのは目指していたところだと思うが)僕らはそれができるチーム。正しく実行できたと思う。

(近鉄戦に敗れたこともあり、チームに緊張感はあった?)全員でいい練習ができたと思います。カップ戦の結果は目指していたものではないのでとても悔しいのですが、それでも前を向いてやろうと。それがよかったのだと思います。

(個人的にこだわっていた部分は?)セットプレーとブレイクダウンのところでしっかり仕事しようと。ブレイクダウンはできたと思います。セットプレーはコントロールできなかったところもあったので修正したい。緊張感のある公式戦を体験できて、またゲームタイムも長めにもらえたので今日はよかったです。

(ここからまた時間が空く、変則的なシーズンとなる)1年を通してラグビーをやらせてもらえるのはありがたいです。今年は弟(照男/東芝)も社会人に進み同じ1番に挑戦しているのですが、2人で頑張って出ようという話はしています。優勝目指して頑張ります。

 

LOロトアヘアポヒヴァ大和

リコーがやろうとしたことをシンプルに出せた試合かなと。トップリーグのラグビーを、リコーのスタイルを出したいと思って戦いましたが、それを達成できたことが嬉しいです。(80分間プレッシャーかけ続けた)前半が終わってハーフタイムに、点数が離れてもリコーがすべきことにフォーカスし続けようという言葉がコーチからあって、グラウンドでもCTB濱野(大輔)キャプテンがそれを言い続けてくれていました。FWとしては、ここ数試合セットピースは組めていたので、相手がどこであってもそのスタンダードをキープし続けることにもフォーカスしていました。

 

(開幕までに何か手をつけていきたいことは)どこのチームが相手でも、リコーがやりたいラグビーをできるように。今年はラグビーW杯もあるしビッグイヤーだと思います。注目されると思う。チームとしてそこでいいアピールをできれば。自分もチームも、昨シーズンよりもいいシーズンにできそうな気がしています。まだここから1ステップ、2ステップ上げないといけませんが、トップリーグに向かっていい準備をしていきます。

WTB高平拓弥

今日の試合は、リコーのラグビーをしようというフォーカスでした。BKとしてはもっと楽しんで、自由に思いきってアタックしようと声を掛け合っていました。向こうのディフェンスの形を見た上で最適な判断ができたのではないかと思います。外にスペースがあったのでそこにどう運ぶかとか、それを逆手にとって違う方にいくとか、よい状況判断ができました。

(カップ戦を振り返って)NEC戦、神戸製鋼戦はあまりいいアタックができなくて、BKとして反省点が多い試合でした。FWが強いチームですが、もっとFWを楽にしてあげなければというのがずっと課題としてあって、もっとゲインしてトライも獲っていこうとしていました。近鉄戦で少しゲインできるようになっていて、今日はそれがスコアにつなげられていたので、よかったんじゃないですかね。全体的に自分たちのラグビーが崩れることなく、みんなでコミュニケーションをとっていい判断ができたことが今日の一番の収穫でした。(前半は突然CVを蹴ることになったように見えたが)FBロビー(・ロビンソン)が「蹴って」って。嘘でしょって(笑)。

(今日はWTBだったが、今シーズン持ち味をどうやって生かそうか考えていることがあれば)自分の強みはアタック、弱みはディフェンスだと思うのですが、結局は後ろ3人がどれくらいコミュニケーションを取って前の人を楽にできるかだと思います。今日のロビーはずっと声をかけてくれていました。自分からも求めていけたし、いいコミュニケーションができていると思います。

 

文:秋山健一郎

写真:川本聖哉

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