第18弾:選手がみせた、その横顔 8

Inside the RICOH BlackRams

2011.10.30

 リコーブラックラムズ(リコーラグビー部)を支える選手たちの、ラガーマンとしての思いや、これまでのキャリアに関するエピソードをご紹介します。リコーというラグビーチームは、彼らの個性と歩んできた道程、積みあげてきた経験が混ざりあって、今の姿があります。

リコーが目指すもの。それに合わせ自分を成長させていく(小吹祐介)

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 今年30才になった小吹。シニア・プレーヤーと呼ばれる域に入った。WTBやFBといった最後列のポジションでみせるプレーは、キャリアにふさわしく冷静で的確。アタックでもディフェンスでも安定感が光っている。

小吹がラグビー選手として経験を積み、技術を磨いた入部からの早8年。この時間はグラウンドだけで流れていたわけではない。同じ年月を、小吹はリコーの営業担当の社員としても過ごしてきた。

「入社したての頃は先輩に教えてもらってばかりで。もちろん責任も与えられず『ラグビー、頑張れよ』という感じでした。まずは仕事との両立を温かく応援してもらっていました。

でも、『ラグビー部だから』と、特別扱いしないでくれるのがリコー。もちろん、練習はあるのでほかの社員とまったく同じだけの仕事ができたかといえばそうではないけれど、段階を踏みながら、成長の機会を与えてくれるんですよね。

そのあたりの調整、さじ加減が絶妙。最初は先輩の手伝いだけの状態から、少し先輩に自分の意見を伝えられるようになって"自分の領域"が持たせてもらえる。次にその自分の領域については、先輩を超え上司と話ができるようになる。徐々に自分の領域が広がっていくと、一人でお客様を担当できるようになっている。

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 ラグビーに取り組みながら、仕事を覚え、やりがいを感じるまでに成長させてもらえる。そういう環境は、リコーという会社に長らくラグビー部が存在してきたという歴史の中で築かれたものなんだと思います。そこに身を置けることは、とても幸せに感じます」

仕事とラグビーを両立し、互いによい影響を出し合う。アマチュア選手にとっては理想だろう。ただし、レベルアップの続くトップリーグの環境を考えれば、言葉でいうほど簡単ではない厳しい現実がある。

「それでも、自分は仕事とラグビーには重なる部分があって、それぞれの経験が活かせる場面もあると思っています。例えば……自分は、最初のうちは『これはどうでしょうか?』とカタログを持って商品やサービスを売りに行っていました。でも、仕事を続けていくうちに会社が目指す形、使っていただきたいと思っているものがお客様のニーズとマッチして、お客様のほうから相談を持ちかけていただいたことがありました。
そんな場面に出合って、仕事って面白いなと感じはじめました。リコーが目指すもの、また営業という仕事の役割について、それまでよりも少し深く理解できた気がしたんです」

この経験は、ラグビーに対する意識にも影響を与えた。

「学生時代や社会人になったばかりのころって、がつがつしていたんです。『自分のプレーが活きるのはこういうラグビーなんだ』という考えがいつもありました。

それが、まず『チームが勝つためのラグビー』があって、そのラグビーを実現するために必要な能力が何かを知り、自分はそれに合わせて努力してレベルアップを目指そう、という考え方に変わった。そのきっかけのひとつに仕事での経験があったんですよね」

単一の商品だけではなく、リコーが目指している形を。自分の持ち味だけではなく、チームの目指すラグビーを。こだわるところを小吹は変えた。

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「変えてからは、自分が成長するスピードがはやくなったように感じています。それは多分、チームの目指すラグビーを実現するためには、自分に足りない部分があれば、それが苦手なことであってもやらなければいけないと納得できるようになったから。そういう気持ちを持てたら、苦手なものがどんどん無くなっていきました。監督が変わって、チームの目指すラグビーが変われば、また自分に足りない部分はどこなのかを自然と考えられるようにもなったんです。
だから、いろんなラグビーの見方ができるようになったというか……。幅が広がっていく感覚が、ここ数年はありますね、、、実感として」

リコーが、そしてチームが目指すものは何なのか?それを理解しフィットしていくことが、自身の考え方の幅を広げ、成長にもつながる。仕事とラグビー、組織と個。すべてでポジティブな結果を生み出すことはできるはず――。今シーズンの小吹のチャレンジ。それは、そんな仮説へのチャレンジでもある。

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